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知恵と資本が結びついて社会的に大きなインパクトを与える傾向は、近年ますます高まっています。
そして、知恵と資本を社会のために有効に使えるかどうかは、その人の手腕にかかっています。
こうした環境の中で、問題解決と価値創造を生業とするプロフェッショナルこそ、現実を直視しながらマクロとミクロの視点を行き来し、社会のために貢献すべきではないでしょうか。
だんだんと分析や問題解決策の立案に慣れてくると、経験した手法や既知の事例に固執しがちになります。
しかし、思考が硬直化してしまうと個人も過去の成功体験に縛られ、大企業病になってしまいます。
そのため普段から「アンラーン」と呼ばれる「既得の知識を捨てる」ことを意識しましょう。
非常に速いスピードで変化する環境の中で、企業経営に対してはアンラーンが必要であるとか、パラダイムシフトに対応すべきであると唱えるでしょうが、個人としてはどうでしょうか? プロフェッショナルとしての将来を考えるうえで大切なのは、自分がバリューチェーンのどこにいるかを常に把握して、将来に向けて構想することです。
感情的に良い悪いということではなく、現実として、現在の企業経営において、バリューチェーンの中で競争力の源泉とならないような部分は、どんどん切り離されアウトソーシングされていきます。
他社と差別化できない部分はコモデイテイ化し低価格化の圧力にさらされ、より労働力が安価な地域へと移されていっているのです。
もしも自分のいる場所が誰とも差別化できない、コスト競争のみにさらされる部分だったらどうでしょうか? 長い間、日本のビジネス環境では、日本語という言語のバリアーが機能してきました。
米国でインドにアウトソーシングが進むコールセンター業務も、英語での業務という基盤があったために加速度的に進んできました。
しかし、だからといって日本の私達が安穏としてはいられません。
私が数年前に中国・大連でソフトウエアの開発を行っていた頃のことです。
システムの要件定義を中国人のエンジニアに伝えるのですが、その聞に中国人で日本語ができる人が何人かいて、普通にメールや電話を使ってシステムが出来上がっていきました。
大連ではプログラミングの知識があり、日本語ができると高収入が得られる職に就けるので、みんな一生懸命に勉強していました。
そうした彼らの月給は当時3万-4万円くらいでした。
つまり、月給40万円の日本人が同じ仕事をするのであれば、彼らのlO倍の価値を出さなければ仕事がとれないことになります。
こうして仕事はコモデイティ化し、より安価な地域にアウトソーシングされるのです。
本来はプロフエツショナル・サービスとされていた税務の計算やお馴染みの企業価値評価(パリユエーション)も、インドのバンガロールにアウトソーシングされています。
こうしたサービスは、インターネットで検索するといろいろと探すことができます。
顧客がこのサービスは高いなと思ったら、インターネットで検索してどこかの国の安価なサービスに瞬時にアクセスできるということです。
先述の例を考えると、自分のスキルと経験がバリューチェーンの中で差別化できているかどうかという視点を持つ必要がありそうです。
これだけ世界中がリンクした環境では、もはや国内・国外という枠組みは、その国固有の規制等以外は意味がありません。
すべての企業はグローバル企業であり、望むと望まないにかかわらず競争相手は世界中にいるのです。
過去の成功体験に縛られずにアンラーンする勇気を持ちましょう。
個人も過去の成功体験に固執せずにアンラーンすべきである・国境というバリアーは、ビジネスにおいてますます消失していき、個人も企業も競争相手は世界中にいると考えるべきである。
これらの製造は、Eと呼ばれる受託専門メーカーにより台湾や中国をはじめとする世界中で行われています。
実はEMSが運営する工場の中には、日本のメーカーの工場だったところもあります。
日本のメーカーにおいては、採算性が合わずコアのビジネスではないとされた工場が、EMSによって買収されているのです。
EMSは工場を買収しロールアップ(束ねる)することで規模を拡大し、それによって材料調達力を強化し、生産性の向上により大規模受注に対応できるようにしています。
工場を売却した日本のメーカー側も、EMSと継続して取引を行うことによって、従来からの自社の製品を引き続き取り扱うことができます。
このようなEMSが増えてくると、旧来からのメーカーの定義は変わってきます。
もしもメーカーの製品企画のみが自社のつくる付加価値だと考えたら、それ以外のバリューチェーンをアウトソーシングしてしまうかもしれません。
この場合は、製品企画こそ差別化すべき競争力の源泉であり、そこだけに注力するのであれば既存のメーカーの概念とは異なってきます。
従来から我が国のメーカーは、研究開発の強みにおいて他社との差別化を図ってきました。
もし最先端技術を用いなくてもユーザーに使いやすい製品を設計したり、デザイン性が高い製品を企画したりすることが優位性になるのであれば、その「メーカー」は自社の工場を持たない「企画会社」と定義されるのかもしれません。
多様化する付加価値を上空から眺めてみる最初から企画会社として自己の定義を行っているような企業もあります。
ZARAやH&Mなどのグローパルなアパレルメーカーです。
これらの企業はパリ・コレクションなどから発信される新しいトレンドをすぐに自社のデザインに反映し、自社工場を持たずに中国やトルコなどにある提携工場で安価に生産しています。
素早いトレンドへの対応力とデザイン力、非常に低い価格設定を競争優位性とし、ときには著名デザイナーと組むことによって、高級ブランドのシェアさえ奪っているのです。
このように自社の生み出す付加価値によって、その定義は全く変わってきます。
他者との差別化ができるような製品を開発しても、すぐに模倣されコモデイティ化されるような世界では、常に新しい価値を生み出すこと、つまりバリューチェーンのどこかでクリ工イティブに差別化することが求められます。
もし自分自身が代替されない、コモディティ化しない存在でありたいと考えるなら、論理的な思考力のみならずクリ工イティブな発想が不可欠です。
当たり前の発想ならすぐに代替されてしまうからです。
クリエイテイブであれと言っても、すぐにそうなれる方法があるわけではありませんが、自分を狭い領域に定義するのではなく、論理的な軸を持ちつつも、多様性を重んじるべきです。
企業にとっての付加価値は製品企画なのか、生産効率なのか、それとも顧客へのアフターケアなのかと、ますます多様化しています。
企業経営の基本としては付加価値を定義し、測定し、その最大化を目指すべきであると言えますが、そのプロセスを自分にも当てはめてみましょう。
多様化する付加価値を上空からの視点で見ることができる人がプロフェッショナルなのであり、新しい付加価値に気づくことができる人なのです。
プロフェッショナルとして報酬に見合った結果を出すのは、本当に難しいことです。
他の人に代替されない、自分だけの価値を生み出すのは、これもまた難しいことです。
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